黙展 by KAKU

月の明かりも無い 何も存在しない 静寂の世界──。

生まれるもっと前の遠い記憶──。

命を抱きしめる祈りの言葉──。

長い黙思の時を重ね 日々の祈りにも似た 呼吸の内に言葉のピースがこぼれ出す。

時が満ち それは一つの形(クマの姿)に化身する。

クマは 自らの命の意味 存在の意味を問い続ける わたしの使者でもある。

座するクマを前に 黙する人は なつかしく やさしく あたたかい遠い記憶の言葉を聞くだろう。

確心は 静かに黙し 時を超える──。


K A K U

 


 

 

1980年代、日本は右肩上がりの高度成長を果たし あらゆる産業分野でデザイナーがもてはやされていた。

KAKUもまた人気のプロダクトデザイナーとして 有名企業の家具や テーブルウエア、化粧品のボトルデザインなどで活躍、忙しい日々は20年続く。

2001年ハンガリーのブタペストに創作拠点を移し15年。

静かに一人黙する日々の中、自らの本質に覚醒し 新たに 言葉の持つ力 文字の意味の深さ 形の美しさを作品の軸に 神聖なクマの造形へと導かれる。

そのクマは 般若心経に覆われていて 羽化するのか?背中に羽が生えている。

また、ゲルニカを覆ったクマも創った。

戦争に憤り、世の中の安寧と平和を祈って描いたピカソのゲルニカをクマに着せて、KAKUは今こそ地球上に住む多くの命のために祈っているのだろう。

このクマの背中には翼がある。どこに飛ぼうとしているのだろう。

銀座一穂堂には KAKUの創った60体のクマの彫刻が並ぶ。

世界中がコロナウイルスに怯えている今、小さなクマに平和を託したい。