伊藤慶二・松崎融 二人展: 「陶 on the 漆」

概要

異なった素材とのコラボ、松崎さんの素朴で大胆な漆に
僕の造形がどう反応するかが楽しみです。
尚 ドローイングは「塔」の種々の有り方を表現する。


伊藤 慶二




十年以上前になるだろうか。インテリアデザイナーの内田繁さんの展覧会に参加したのが、伊藤さんとの初めての出会いだった。
その時見たオブジェや器の存在があまりに自然で、空間に溶け込むような不思議な力を感じた。
彼の陶は私の造る木の物達と真逆のようで、実は二人の作品は一緒にいると居心地よい。
今回、伊藤さんとの二人展を企画した一穂堂に感謝したい。


松崎 融




伊藤慶二の作品は静かである。彼の生き方同様に 重く深くそして美しい。
伊藤は今回、漆の松崎融との二人展に塔を描き、五輪の塔よりずっとシンプルな黒陶の塔を作った。

ヒロシマシリーズ、仏足石、面、祈り と一連の彼のオブジェは人間の罪へのオマージュを感じる。

孤高の伊藤が 情ある松崎と二人展をすることになったのは、彼の中にそろそろ罪深い人間を許し始めたのかもしれない、と そんな気がする。

一方 松崎融の器は、根来のようで 李朝のようで、古いお蔵の片隅にあったような懐かしさと温かさを感じさせる。
かつて、インテリアデザイナー 故・内田繁氏は松崎融の漆を「縄文の赤。太陽の赤」と絶賛。
後年、最も好きなアーティストとして、国内外の様々な発表の場に連れ出した。
その一つ、2008年、Ippodo New Yorkオープンの折、「内田繁と仲間達展」で二人は初顔合わせ、その出逢いがこの企画に繋がった。もう12年になる。

今回、銀座一穂堂では、「陶 on the 漆」として伊藤慶二・松崎融 二人展を開催。
天国から内田繁氏が見ているようで、嬉しくなってきた。

展示風景