Tohru Matsuzaki: 縄文の赤・根来の朱

Overview
創作50年記念に……。

 

令和5年の秋はラグビーワールドカップで始まる。

世界中の人々が歓喜で溢れるスポーツ。

銀座一穂堂には松﨑融のパワフルな木工が集まる。

 

松﨑は岐阜の桜井銘木店の最上級の木材を鑿、木槌、鉋で刳り貫き、 那珂川の辺りの上質な漆をたっぷり塗り重ねる。

荒々しく粗野な造形は縄文時代に遡るようにも思え、 また 若き日 木工への道を決めた根来塗り 李朝を意識した形は松﨑の魅力。

 

 

師を持たず 自ら信じる木工の美を求め続けた松﨑融の50周年記念の展覧会のテーマは 「縄文の赤、根来の朱」。

インテリアデザイナーの内田繁は「松﨑の赤は縄文の赤である、縄文の赤は太陽の赤である」と称した。

私は初めて彼の朱漆を見たとき、根来のようで 李朝のようで 古いお蔵の片隅にあったような 懐かしさを感じた。

 

この暑い夏 松﨑は茂木の作業場で作り続けた。

野球少年だった彼はメジャーリーグで活躍する大谷にパワーをもらったのだろう。

私は松﨑融の仕事に勇気をもらった。