辻村 塊 -白と黒の攻防-

概要

辻村塊の個展を催して10回。個展の度に 奈良桜井の彼の山に向かい作品を選ぶ。
桜井は縄文、弥生、古墳時代の遺品や陶片が そこかしこから出てくる古の地、近くに談山神社や三輪大社がある。
塊はそんな事を知っているのだろうか?そんな文化遺産を訪れているのだろうか?
ただ 淡々と造る。その山には 奥さんと犬1匹。 ただ 黙々と作陶している。
彼の山は 父君・辻村史朗の水間のように陶塚になり始めている。

テーマ「白と黒の攻防」、静かにそして 若々しい彼の感性と挑戦が 志野茶碗と黒織部になった。
驚くような攻めと基本をしっかり守る茶碗が焼けている。

2020年 新年早々 令和天皇を迎えてのお祝い気分と 夏の東京オリンピックの明るいニュースで湧き上がっていた日本に コロナウイルスが拡散し、その後は世界を震撼させた。
塊にはコロナも敵わない。
マスクを外し 木を切り薪を貯め、重い土を捏ね ロクロを旋し 窯を焚く。
彼の日常は何も変わらない。
勤勉で真面目でひたすら作陶する塊が ランドクルーザーいっぱいの作品と共に銀座にやってくる。