若杉憲司 襖フォトとマドンナ
日本の伝統的な座敷の「襖」を撮影し、その「襖」に旅で写した「花や鳥や山水」を合成しました。
二つの世界が融合し、化学変化を起こして、建築空間と一体となったパノラマ作品が生まれた。
この表現を襖フォトグラフィーと名付けた。
若杉憲司
暗室の棚に、コダックの黄色い箱がある。箱の中にはマドンナの写真が入っている。
日の目が当たらない暗い箱の中で、もう35年間も眠っているのだ。
それが2021年の2月になって、"Adore"というタイトルで写真集となり、ロンドンから出版されたのだ。
奇跡だと思った。
マドンナ。1985年1月、東京。
Like a Virginのプロモーションのために初来日。
週刊プレイボーイ誌(集英社)が私に与えたマドンナの取材時間は45分だった。
本を出版していただいたクリエイティブ・ディレクターのNick Groarke氏(NJG Studio)に心より感謝とお礼を申し上げます。
そして、あの時のマドンナと、今も世界の第一線でご活躍のマドンナに、心より感謝とお礼を申し上げます。
若杉憲司
安土桃山時代に日本家屋の基礎となった数寄屋造。
若杉はその建物の美に捕われ、襖の中に彼が撮り貯めた自然界の山紫水明、花鳥風月の写真を融合。えも言われぬ襖フォトの世界を創った。
その若杉が35年前、雑誌の仕事で撮ったマドンナ。
それが時を経て、ロンドンのアートディレクターである Nick Groarkeの目に留まり、「Adore」というアートブックが2021年、刷り上がった。
襖フォトとマドンナのポートレート、全く異なる2つの世界。
若杉の美のエネルギーは両極から感じられる。
一穂堂らしく掛軸にしてみた。