川岸富士男: 古い植物図鑑のような……

概要

私にとって描くことは、事実を土台とし、 その事実の記憶を繰り返し繰り返し、何度でも繰り返すことであり、 この平凡な繰り返しが日常となり大切な学びに変るまで繰り返すのである。

誰もが素通りするような平凡極まりない日常の一景が簡素の美に つながることを希ってこれからも筆を持ち、線を引く。
これが私にとっての喜びであり、描く原点でもある。

川岸 富士男

 


 

 

川岸富士男の絵を知ったのは1989年、文化出版局の季刊「銀花」78号で特集された時。
彼の植物は細い線で生き生きと美しかった。
また、古い植物図鑑を見ているような……そう、牧野富太郎の図鑑のように感じた。

川岸富士男は自分ではわかっていないが 不思議な能力を持っていて、彼が見たモノはその真髄だけが 絵筆から線となり、線の周りに美が宿る。
サラリーマンを辞めて、画家として31年。日々 坦々と静かに生きてきた。
私のジェットコースターのような生き方とは異なるのに、なぜか気になる。

展示風景