三代目 村瀬治兵衛の世界

概要

2016年の秋、ニューヨーク一穂堂で個展の機会を得、NY茶会を試みた。
そのご縁で フィラデルフィア美術館に作品が収蔵され、2年後 日本館 茶室移築 100周年記念に展示される事になり 一穂堂の関係者と一緒に 茶会にも参加した。フィラデルフィアは、かつてアメリカの首都でもあり、全米で最も歴史的な美術館、映画「ロッキー」の舞台にもなった。
世界の美術工芸品の中で、客観的に自分の作品を見る機会は貴重だ。それ以来 自分自身 作風が大きく変わったように感じている。水指や茶器など使える道具が 茶室を出ても、アートのコレクションアイテムになり得ることに驚いた。
相応しい造形美の追求と、更に使いやすさにも心の重きを置きながら 新しい形に挑む事を楽しみ、制作する日々である。

村瀬治兵衛

 


 

 

令和元年、新天皇大嘗祭を前にして、村瀬治兵衛展を久しぶりに企画した。
村瀬は木地師としてろくろ技術もさること乍ら、彼の形は 若き日 彫刻家を目指したこともあり、美しく意表をつく。彼の器の形が茶道具という型のしばりの中で、食器という用を越えて美しい。村瀬治兵衛の作品は空間を清め、品格を高め、周りの道具を際立たせる魔法のような力がある。
今回は特に私の好みで選ばせていただいた。

青野 惠子

展示風景