Ryusuke Asai: 文人の言葉と共に……

Overview
「捨てし身をいかにと問はばひさかたの雨ふらば降れ風ふかば吹け」良寛

決して世捨て人になった訳でも、出家した訳でもありませんが、この年になってボクが思う心境はまさにこの歌のごとく、雨が降るならそれもよし、風が吹くならそれもよし。 流れに逆らわず、すべてを受け入れ、ただひたすらに、ということ。

 

 

ボクの創作の源は「言葉」の世界。

目を通して、耳を通して心の中に積み重ねられた言葉たちが、その陰影となって、 いつしか形作られていくのです。

 

「風さそふ花のゆくへは知らねども惜しむ心は身にとまりけり」西行。

散りゆく花びらの行方を追うことはしません。

ただその儚き姿がボクの心となり、身となっていると信じて。

 

浅井竜介

 


 

 

浅井竜介の茶碗は楽しい。

彼の父君はあのビートルズ公式カメラマン・浅井慎平。

青年期に英国で教育され 工芸 文学 音楽 スポーツ…… 身体中に豊かで稀な体験と思考が充満している。

その彼はインテリアデザイナー内田繁にデザインセンスを、 鯉江良二に陶芸のおもしろさを学んだのだろう。

浅井竜介の書も陶芸もどこか不思議な魅力がある。

 

今回 彼が心に残る文人の一行の言葉を パネルと掛け軸にした。

それぞれの茶碗の銘は彼の思考そのもの。

5年ぶりの個展、彼の進化を見てほしい。